大阪・南堀江と中津のライフスタイル自転車専門店

Raleigh RSC の「あの棒」のこと。

イギリスの老舗ブランドRaleigh(ラレー)のミニベロの中ではフラッグシップとなる「RSC」の2019年モデルが届きました。
当店でも人気のモデルで、本気で走れるミニベロをお探しの方には必ず候補に入る1台でもあります。

451サイズの20インチ (←大きい方の20インチ です)で、英国レイノルズ社製のクロモリパイプ&20インチ では少数派のカーボンフォークでオーソドックスかつスポーツ車としての攻めた設計で仕上げています。
コンポーネントはシマノ105が中心です。

っと、概要はこんな感じですが、もう何年も作り続けているモデルなので過去のブログからもRSCの紹介をご覧いただけます。
大まかなこのモデルの性格はそちらでどうぞ。
そんなわけで今日はRSCのこだわりポイントを少し踏み込んで詳細に説明します。

一見オーソドックスなホリゾンタルデザインのクロモリフレームですが、よく見るとフロントギヤ付近に普通の自転車にはない棒が生えていまして、フロントディレーラーはそこに取り付けられています。そこそこロングセラーのモデルですので、このRSC特有の「あの棒」については気になっている方も多いのではないかと思います。

駆動系パーツに関連するミニベロとミニじゃないサイズの自転車(以下、便宜上ロードバイクとします)のフレーム設計に置いて一番影響するのが「BB下がり」なる数値でありまして、、、下の画像は同じラレーのロードバイク「CRF」ですが、前後のホイールの軸をつないだ線からBB(前ギヤの中心)までの距離を「ハンガー下がり」と言います。

(BBドロップとかBB下がりとか言う場合もありますね)CRFの場合、ハンガー下がりは70ミリになっています。ロードバイクの場合、文字通りBBは線から下がった位置にあるのですが、ミニベロの場合、同じように線から下がると、タイヤが小さいのでペダルが地面に当たってしまいます。
ですので、ミニベロの場合は前後ホイールの中心より上にBBが付く「ハンガー上がり」となります。カタログ値を見るとハンガー下がりがマイナス20ミリとなっています。
要するに20ミリ上にあると言うことです。ややこしい。

で、これが「あの棒」となんの関係があるのかと言いますと、、、このRSCにはシマノの105のパーツがアッセンブルされていますがシマノさんとしては、もちろん世の中の大多数をしめるロードバイク基準でパーツの設計をしているわけです。
当然、ハンガーも”上がり”ではなく”下がり”の前提で設計されています。ですので「あの棒」を使ってシマノさんの設計した基準に沿うように正しい角度でフロントディレーラーを取り付けよう、と言うのが「あの棒」の存在理由になります。

ここで再度フレームをみてみましょう。
ここで注目すべきはリアハブ軸とBBをつなぐチェーンステーの角度とシートチューブの角度。”ハンガー下がり”になっているロードバイクは角度が小さく、”ハンガー上がり”になっているミニベロは角度が大きくなっています。

この差を解消するためにミニベロを作っている各社さんはそれぞれ工夫してシートチューブへの取り付けパーツに角度をつけたり、極力位置を後ろにずらしたりしているのですが、どうしてもシマノさんが想定している完璧な角度には届きません。(それでも100%ではないですが変速はそれなりに動作します)そこで、ラレー(設計しているのは日本のアラヤさん)の出した解決策が「あの棒」と言うことになります。これにより角度・位置共にちょうどいい位置にフロントディレーラーが付けられます。

これにより、フロントディレーラーの性能をきちんと出すことができて、使えるギヤの大きさも自由度が高くなります。ちなみにRSCの場合、シマノさんもあまり想定していないであろう56Tという大きながフロントギヤが付いています。

そんなわけで、「あの棒」のこと、理解して頂けたでしょうか?もう少し突っ込んだ説明をするとRSCのシートチューブは比較的立ち気味な角度で設計されています。
純粋なロードバイクのような乗車姿勢でしっかりとした踏みごたえを実現するための設計と思われますが、長文になりそうなのでもっと知りたい方は店頭でお尋ねください。


あ、新しい2019モデルの詳細に付いてお伝えしていませんでしたね、大きくは3ヶ所変わっています。
一つ目はコンポーネントが最新の105に。
ディレーラーの仕組みが大きく変わっているのと、見た目がメカっぽくなりました。
二つ目はサドルがラレーオリジナルからプロロゴ製に。
三つ目は今までフロントフォーク内側に隠されていたフェンダー用のネジ穴が、外側に変更されています。フロントラックの取り付けに対応するための気遣いだと思われます。

あとお値段も変わりまして、1万円高くなって162,000円になりました。
ちなみに1万円安い2018年モデルも1台のみ在庫ございます。
価格とメカの見た目で選ぶならこちらもアリかと。。。ぜひ店頭で見比べてみてくださいませ。