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tern Surgeに50kmほど乗ってきました。

メーカーさんからお借りしましてternのSurgeに50kmほどしっかり乗ってきました。
走ったルートは先日と同じternのVektronでも走った僕の通勤ルート、もう何百回走ったかわからないぐらい走り慣れた道です。

本当はyoutubeで動画を使ってご紹介しようと思って少々撮ってみたのですが、とても人サマに見せられるようなものにならなそうなのでやめておきます。。。

まずは、全体像から。

もう何シーズンも経て毎年少しづつバージョンアップを繰り返しているモデルですのでかなり完成度が高くなっています。
極太のダウンチューブとエアロなデザインが美しいミニベロロードですね。
今シーズンからダウンチューブの「rern」のロゴは反射素材になっています。
夜に車のヘッドライトに照らされるとボワーっと反射します。(ギラギラ派手派手しい反射じゃないのでご安心を。)

素材はフルアルミ。
フォークもフレームもアルミです。
こういった極太のアルミフレームだとさぞかし乗り味が硬く路面の振動をゴツゴツ拾うのではないかと想像していましたが、乗ってみると意外と気にならないんです。乗り味が硬くなりがちなミニベロとしては普通レベルで特にストレスは感じませんね。
スペックチャートには乗っていませんが、デザインと乗り味から判断してカリカリに硬い7000系アルミではなく、マイルドな6000系のアルミだと思います。

今回の試乗では車体と一緒にお借りしたkitt designのカーボンバトンホイールを付けています。
オリジナルのホイールよりはずーーっと硬いホイールなんですがこんなホイールを付けても激しく乗り疲れするようなタイプのフレームではないので、アルミ=硬いから嫌だ、という方もまずは先入観なしに検討してみてください。
ペダリングフィールはアルミらしい踏めば踏んだ分だけ走る(当たり前ですが。。。。)踏みごたえです。
クロモリのようなバネ感はありませんが、詳しくは後述しますがフレームがヨレる感じは少ないので反応が良くて気持ちいいフレームです。

あとこの乗り味の良さの理由としてはやはり長めに設計されたフロントフォークの影響もかなりあると思います。
フォークレッグを長く、その分ヘッドチューブを短くする設計です。
ternの他の車種でも多く採用されていますし、他のメーカーではManhattanのミニベロでも採用されている考え方ですね。
私個人としては結構好きなんです、この長いフォーク。
見た目もスマートに見えるのでいいですよね。
フォークが長くなる分、ヘッドチューブが短くなるのですがこの辺りの効能については後述しますね。

ちなみに重量はノーマルの場合、10kgジャストほど、
今回はカーボンホイールを入れていますので少々軽くなっていますが、この価格(92,000円)とこのデザインを考慮すると十分合格ラインでしょう。

パーツ構成は

パーツ類はShimano Clarisをベースにしたフロント2段×リア8段の構成です。
Clarisはグレード的には街乗り〜スポーツ用という、いわばエントリー向けグレードになるのですが、これが全く侮れない使いやすさでして、STIレバーのブラケットの握りやすさは一昔前の上級者向けグレードに匹敵するものになっていますので、個人的にはかなり推しております。
ドライブトレインではクランクのみClarisではないパーツがついています。
ternオリジナルの53t-39tのクランクなんですが、これはClarisのクランクだと50t-34tしか設定がないのでギヤ比を稼ぐ為に致し方なく、といったところでしょうか。

ギヤ比の感覚としては個人的にはもう少し大きなギヤを希望します。
今回走ったコースは半分は河川敷のサイクリングロードでなおかつ全くの平坦です。そういう状況だと常に上から2〜4枚のギヤを使う感じです。
もう一枚下のギヤで巡航できれば安心感あるんですが、気になる方はクランク周りを丸っとカスタムしましょう。
逆に市街地がメインの場合はこれぐらいのギヤ比で十分OKですね。

その他、ブレーキ、ハンドル、ステム、サドル等もternオリジナル。
価格からすると悪くない品質ですので、ノーマルのままでも十分楽しめる構成だと思います。
今までそこそこな台数を販売させてもらっていますが、サドルのせいでお尻が痛い、という苦情は割と少なめですね。ご安心を。
もちろんグレードアップすればより楽しいのでこちらも後ほどコツをご案内いたします。

見た目だけじゃないフレーム設計の面白さ

乗ってみた感想としては、前の方でも少し触れていますが、長めのフロントフォークを含むヘッド周りの造りがとても良い感触でした。
このSurgeのヘッドチューブは44mm径で現行の規格の中では一番太い規格。
ヘッドチューブを太くすることで、ヘッドパーツ(ベアリング)を大きく、剛性を高く設計できるので本格スポーツ車では近年標準になりつつあるサイズです。
ミニベロの場合、フレームの設計上フレームそのものが大きく、特にヘッドチューブが長くなります。もちろんその分フォークコラムも長くなる訳で、これらがハンドル周りの剛性に大きく関わってきます。
で、そもそもハンドル周りの剛性がなんで必要なのかと言いますと、自転車って左右にこけないようにバランスを取りながら走っている訳で、大まかにいうとペダルを踏む力とハンドルを握る力でバランスを取りながら走っています。
なので、しっかりとペダルに力をかけるにはハンドル周りの剛性がないと踏み込めないし力が逃げていくので必要なんですね。

50km走ってみて、Surgeの場合そのあたりの設計がなかなか良いバランスになっているのに気づかされました。
おそらくヘッドチューブが短くて高剛性というのが良いんですね。(個人の感想です)
ヘッドチューブが長くなるとフォークコラムが長くなって、ハンドル周りの剛性感にも影響するのでほどほどにヘッドチューブが短いのが良いみたいです。(僕の好みってだけかもしれませんが。。。)
もちろん近年の本気のロードバイクと比べるとアレかもしれませんが10万円をきるミニベロでこのレベルまで持ってきてくれているというのは他には少ないんじゃないでしょうか。

カスタム次第でもっと良くなる

話が長くなってますがもう少しヘッド周りのお話を。
44mm径で短めヘッドチューブのおかげでフレームの剛性は確保できている感じはするのですが、逆にステムがもうちょっとしっかりしていれば、というのが見えてきてしまいます。
せっかくのしっかりしたフレームですので一手間加えてさらにいい感じに仕上げて欲しいです。
また、体格に合わせてステムの長さを調整することも多いので、まずはノーマルで乗ってみて、ハンドル-サドル間のベストな位置関係が見えてきたら少し良いものに変更するのがいいと思います。
ちなみにハンドルそのものの剛性はまぁまぁだと思いますが、サードパーティのパーツに交換すれば割と簡単に同じ剛性感で軽いものが手に入りますね。
そんな訳で、僕がカスタムするならまずはステムとハンドルですね。
やはりハンドル周りが走行感の情報が一番感じ取りやすい部分ですから、ちょっと贅沢しても走る時の楽しさを感じてもらえるので良い投資になると思いますのでオススメです。(もちろんバーテープも好みに合わせて、色や手触り、厚みなどなどこだわっていくとより楽しいですよ)

で、もしもう少し手を加えるならクランクですね。
前途の通りギヤ比の関係でternオリジナルのクランクを装備していますが、やはりここはスポーツ車ですから2ピースクランクに交換したいですね。不見応えが全然違ってきます。
このSurgeのメインコンポであるShimano Clarisのクランクだとギヤ比が足りないので、ちょっとイレギュラーですけどクランクだけShimano 105に変えてみては如何でしょう?
アウターギヤは最大53tまで選べますので、ノーマルより2%弱ですがハイギヤ化できます。何よりあれだけのしっかりしたクランクセットがたったの1万5千円ぐらいで買えるのですからめちゃくちゃ安いと思います。
もちろんShimanoさんとしては非推奨な組み合わせですが、まぁ一応問題なく動きます。

あ、言い忘れましたがペダルは交換しましょうね。
ここも投資コストに対するリターンが大きい部分ですので。ていうか最初に付いているペダルは車格に対してはちょっとプアーだと思いますので。。。

Kitt Designカーボンホイール

今回は車体と一緒にこのホイールもお借りしています。
当店では他の車体にも付けてご納車することも多いですし、個人的には結構好きなんです。
僕個人としては前に他のブログでも書いた事あるんですがミニベロのホイールって硬いほうが良い仕事すると思っています。
その点でこのカーボンホイール以上に硬いものって無いと言って良いんじゃないでしょうか。
ミニベロの面白さの一つに加速の軽さというファクターがあると思いますが、一切撓まないカーボンバトンホイールならもう最強クラスの加速感が味わえますよ。
そして何よりかっこいい・・・。
あと数日はこの車体をお借りしているので、もしチャンスがあれば店頭で乗ってみてください、きっと欲しくなりますよ(現在品切れ中ですのでご予約承ります)

カーボンホイールでネックになるのがブレーキの効きですが、もちろんアルミリムに比べるとやや劣る感触になりますが、今のところ当店でもそこそこな数を販売させてもらっていますが、不安を感じるようなご意見はいただいておりません。
カーボンリムの特性をあらかじめご理解頂いていれば別段問題はないかと思います。


総合評価としましては、個人的にはすごく良い、お買い得な自転車だと感じています。
10万円を切る価格でこのデザインで作れること自体すごいんですが、Shimano ClarisのSTIレバーを含めエントリーグレードながらとても使いやすいパーツを選んでくれているのはさすがternさんという感じです。
付いているパーツこそエントリーグレードですが、お使いの用途やよく走る道、脚力、体格などなどいろんな要素に合わせて少しづつカスタムしていくとより良くなりますので、購入後も色々ご相談ください。

久々に長編ブログになりましたが、最後までお読み頂いてありがとうございました。
およそ50km・約2時間半ぐらい走りながら、他のミニベロと頭の中で比較しながら走ってみました。
実際にミニベロを探していてご購入を検討中の方なら他にも気になる点もあるかと思いますので、店頭でお気軽にご相談いただければ嬉しいです。
お待ちしております。