大阪・南堀江と中津のライフスタイル自転車専門店

まだ手に入ります。Alex Moulton CENTURY フォトレポート

えっと、2年ぐらい待ちましたでしょうか。。。。
その間コロナとか色々ありましたね。。。。

当店初入荷の Moulton CENTURY です。

生みの親のアレックス・モールトン博士の生誕100年を記念するモデルです。
もちろん博士はもうお亡くなりになられていますが、ご存知ない方のために少々ご案内をしておきますと、アレックス・モールトン博士はイギリスの名車MINI(ミニクーパーとかのやつね)のサスペンションを設計した方で、MINIを作ったのはBMCといういわばイギリスの国有企業のような会社ですから超エリート。MINIの総合的な設計をしたサー・アレック・イシゴニスさんと並んで世界的に著名なエンジニアであります。

さて、今回のCENTURYですが、フレームはニューシリーズと同等、ですが17インチを採用しています。
素材はクロモリです。
そしてCENTURYは完成車でのご用意になりますが、SRAMの変速系を使用してリアの歯数構成は9t-36t。実はこの9tで始まるギヤ構成は60年代にモールトン社が特許を取っていたらしいです。
そんなストーリーもありながら、ちょっとCENTURYの実物を細部まで見てみましたのでレポートいたしますね。


ではまずハンドル周りから。
ハンドルバーはモールトンのオリジナル「サファリ」バー。
クラシカルなオーバル形状ですが、下ハンドルが長く、フレア(下広がり)しています。
写真の車体は下ハンドルを地面と並行に、ブラケットポジションはモールトンらしくややアップライトにしています。
レバーはSRAMなので右手がダブルタップ仕様、左手はブレーキのみです。
バーテープは標準でBrooksのカンビウムラバーバーテープが付いています。フレームカラーとも良く調和してますね。

ステムはこちらもモールトンを代表する「ウィッシュボーンステム」。
角度調整可能で通常のステムに比べ上向きにつけるのが一般的です。
長さは数種用意されていますが、日本人の体格だと10cmが一般的なようです。
ハンドルバーの「M」のロゴはちょっと横に配置。洒落てます。

ヘッドパーツは我らが日本のTANGE製のテクノグライド・スーパーポリッシュですが特別バージョンで「MOULTON」のロゴ入りです。特別感。

フロントサスペンションはニューシリーズのもの。走りはAMシリーズよりガッチリしていますがシルキー。こればっかりは言葉では表現できないのでオーナー(と自転車屋)だけが知ることができる異次元のエンジニアリングでございます。

タイヤは前途の通り17インチ。
ブリヂストンモールトンブランドのタイヤが使われています。
今後継続して流通する17インチタイヤはこのブリヂストンモールトンかシュワルベのコジャックの2種になります。(IRC-ダイナベクターのMoultonロゴ入りタイヤもありますが、生産終了です、まだ今なら流通在庫を探し出すことはできると思います)
ハブはこちらも「M」のロゴ入りオリジナルハブです。
ニューシリーズのフォークなので幅はナロータイプ、シールドベアリングを採用していますね。
リムもMOULTONオリジナル。17インチを採用しているメーカーは他にないので当たり前か。。。
ハトメ付きのスポークホールです。うん私も小径ホイールにはハトメが重要だと思います。(個人の好みですが)
スポークはSAPIM製ですね、#14-16のバテッドスポークです。
よくあるバテッドスポークは#14-15(太い部分が2ミリ、細い部分が1.8ミリ)ですが、こちら太い部分は2ミリ、細い部分は1.6mです。めっちゃ攻めてますが、SAPIMの技術力あってこそですね。
ちなみにこのスポークはこういった完組みホイールにしか採用されていないので、この自転車買った人だけの特権です。

次はメインフレーム見てみましょう。
基本的にはニューシリーズのフレームですが、個人的にグッとくるのはヘッドチューブ下側のこの複雑な溶接。
一点に集合する形より分散して部材が交差する方がもちろん強度が増すのでしょうけど、溶接は交点が増えるほど歪みも出やすいでしょうし、めちゃくちゃ技術がいるんだろうと予想しています。
ずっと眺めてられる造形美です。
もちろん前後分割式です。

リアサスペンションは「ハイドラスティック」
こちらもモールトン博士の代表的な発明品。クルマのMINIに採用されているのと基本的には同じ考え方で液体を封入したゴムをショックアブソーバーにしています。
AMシリーズのラバーコーンサスペンションもですが素材の使い方が天才過ぎます。
ラバーコーンの天才っぷりはこちらの記事をご覧ください

ええと、次はシート周りです。
サドルはBROOKSのレザーサドル。定番のB-17です。
ここまでくるともう当たり前みたいな気分になってきますが、MOULTONのロゴ入り特別モデルです。
さらに、日本ではもうほぼ見ることがなくなってしまったチタンレール仕様。
車格に見合ったチョイスでございます。
チタンといえば、シートポストもチタン製です。
ヤグラ部分はアルミでもちろんこちらも特別なロゴ入りです。

お次は駆動系をチェックしてみましょう。
クランクはシングル仕様で2ピースタイプのクランクです。
スポーツ自転車の世界ではもう当たり前になった2ピースクランク(右クランクとBB軸が一体になっている)ですが、こちらもMoulton社では80年代にはこういうクランクを作る構想があったそうです。
実際このCCENTURYについているクランクはOEMだと思いますが、こちらにもきちんと「M」のロゴが、そしてクランクキャップにも「M」さらにチェーンリングにも「ALEX MOULTON」「CENTURY」「THE SPIRIT OF BRADFORD ON AVON」と刻印入り。
この特別感。気持ちの入り方をご理解頂けますでしょうか。

続いてはブレーキキャリパー。
・・・・・実は普通。テクトロです。
効き具合は十分ですよ。現場からは以上です。

変速系はSRAMのXDRドライバを使用したフロントシングル X リア11速。
リアスプロケットは9t-36tというワイドっぷり。
9tスタートのスプロケットを使用することで普通の大きさ(52t)のフロントチェーンリングでもしっかりと踏み応えのあるギヤ比を実現しています。
ロー側も最大36tなのでこれならフロントシングルでも十分でしょう。
デメリット(というほどでもないですが)を挙げるとするとリアディレーラーが大きすぎてもう17インチホイールの外径ギリギリまで下がってくるって事でしょうか。
このテのトラブルはあまり聞いたことがないのでそんなに問題ないと思いますが、縁石とかに擦らないかちょっと不安になりますね。(多分大丈夫ですけど)

長くなりましたがこれで一通りご案内できたかと。
最後になりますが価格はだいたい150万円と少々ぐらいになるかと思います。
英国からの運賃が毎度毎度とんでもない金額になっておりますので、入荷毎に価格が変わる可能性がございます。何卒ご了承ください。
しかしながら、これだけの特別感あるモデルでロゴ入りのスペシャルパーツも多用して、この価格はお買い得と言っていいと思います。
だってステンレス製のニューシリーズのフレームのみの価格と大体同じなのですから。
写真の車体はもう嫁ぎ先が決まっていますが、近々お渡しできる車体も1台入荷予定です。
車格・性能・特別感、どれをとっても最上級の1台です。
このグレードの即納できる車体が入ってくることはまずないので、最高の自転車が今すぐ欲しい方はぜひご検討くださいませ。