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試乗会の前に、Tyrell「スラントフレーム」のお勉強

今週末、10月27・28日に開催のTyrellとMOULTONの試乗会。
どちらもフレーム構造が3次元的で複雑な作りなので、この2社を乗り比べてミニベロならではの自由な設計思想に触れていただきたいと思っています。

そんな折、Tyrellさんからメールがきました「今回はモールトンとの比較試乗会との事でしたので、スラントフレームについての解説書を添付しております。」と。有難い事です。

で、頂きましたのが「Tyrellスラントフレームテクノロジー解説」という7ページに渡る資料。
ご興味あある方は試乗会でお見せしますのでお声がけくださいね。

資料の内容でもっとも強調されていたのが”ヘッド周りの捻り剛性”でした。
ちょっと解りにくいかもしれませんが、大雑把にいうとハンドルをギュッと強く握って、強くペダルを踏み込む姿をイメージしてみてください。
もしハンドルやフレームがゴムみたいに柔らかかったらグニャっと曲がっちゃいますよね、そうならないようにフレームを固くする指標が”剛性”というキーワードです。
Tyrellのスラントフレームの場合、フレーム全体の中でも特にヘッド周り(この場合フレームの一番前の縦のパイプ周辺一帯を指すと考えた方が解りやすいですね)の剛性という点で、そのメリットがあるとしています。
ミニベロの場合、ヘッドチューブが長くなりますので、フレームの前半分が構造的に安定して固い三角ではなく台形に近い形になってしまい、漕ぐ力を伝える上で重要な前半分のフレーム剛性が落ちやすい構造になってしまいます。
そこでTyrellのスラントフレームでは、下の図のように横から見て2つの三角(赤い線)と上から見ても1つの三角(青い線)をヘッドチューブに隣接することで、ミニベロの弱点であるヘッド周りの剛性を飛躍的にカバーしている訳ですね。

僕もまぁ一応自転車屋なのでフレーム形状から察して前半分のフレーム剛性に着目したデザインであることは解っていましたが、とりわけヘッド周りの剛性に拘った作りであることはそれほど意識していなかったので、試乗会ではその点を意識してもう一回しっかり乗ってみようと思います。

僕の個人的な感想としては、予想通りというか当たり前の感想ですが、
モールトンは乗り物としての安定性と乗り手のパワーロスを減らすためのフレーム剛性、サスペンショとのマッチングのためのフレーム剛性、なのに対してタイレルは漕ぎの入力に対していかに乗り手に応えていくかという思慮から発生した設計思想なんじゃないかと思っています。

最後に、資料の最後のページにあった一文をそのままご紹介します。
小径車はその構成上、バランスよく設計する事が難しいカテゴリーの自転車でした。
スラントフレームテクノロジーを採用する事で、その弱点は克服され「乗り物」としての可能性が大きく開けたと言えます。 技術的側面では、小径車のブレークスルーと言っても過言ではない設計技術なのです。

あえて悪い言い方をすればミニベロの弱点を解決する方法は他にもあるかもしれません。ただ確実に言えるのは例えばCSIのようなめちゃくちゃ軽くてしっかり踏んでも応えてくれるミニベロが製品として存在するという事がこのスラントフレームテクノロジーが一つの解決策として間違いではないことの証明だと思います。


当店には珍しく小難しく熱いブログになりましたが、ご興味持っていただいた方はぜひ週末の試乗会で乗って見てください。
スラントフレームについてももっと細かく説明いたしますよ。
お待ちしております。